2017-08

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全体主義者は隣組がお好き

NHKという国営放送局になにかはらをたてているわけではないし、インネンをつけたいわけでもない。死んだばあちゃんなんかは朝昼晩とNHKのとりこであった。昼下がりだけ、民放の昼メロドラマというのか、エロドラマというのか、ああいうのをたまに見ていることもあったが、まずほぼばあちゃんちの、薄青いセルロイドが画面にかけられたテレビはNHKを放送していたのであった。
セルロイドっつうのはなにかっていうと、あまり詳細に書くと「ぶきゃこさんの年齢ってもしやこんくらいまで行っちゃってるのでは?」とじゃすいをされてしまい読者と筆者の相互理解をたまさげるのであまり書けないのであるが、昭和の戦後からそんなに経ってない時代のしかもド田舎では、「テレビの画面からは放射能が出ている」というのが村人のあいだで常識だったのである。いや待て本当だ。本当ですって。
まあ電気がビビビってなってるわけだからそこから放射能といえば放射能が微量出ているのはあながち間違いではないのだろう。「放射線ではないんですか?」などと愚つっこみをしてはならない。放射線などと、やくにたつレントゲンみたいな生ぬるい表現はしなかったのである昭和のとある昔では。でもってそれから視聴者の目を守るためにセルロイドは掛けられていたのであった。

セルロイドの話はこれくらいにしてようするに言いたかったのは私はNHKに親しんで育っているのであり、これから言うことはけっしてNHKサゲが目的ではないということだ。

で本題に戻るがこないだの朝、NHKでこのニュースをやっていた。
あしたのまち・くらしづくり活動賞に千葉市美浜区の団体など

私の朝というのはだいたいひとり朝食とともにニュースやツイッターをみてちょいちょいつっこみを入れたりしてちょっとだけゆっくりした後は、もう毎朝死亡寸前と言ってもいいくらいいそがしいので、テレビでニュースをやろうがきょうのワンコをやろうがレコード大賞をやろうがろくすっぽ見ても聞いてもいないのであるが、この日だけはNHKのアナウンサーがしゃべる言葉に珍しくひっかかったので記憶に残り、あとで会社に向かいつつニュースサイトでどんな報道であったのか確認したのであった。私の耳が引っかかった箇所は、
「さまざまな問題を行政まかせにせず、自分たちで解決を図っている点が評価されました。」
という部分だ。

「行政まかせ」の類似ワードとして「学校まかせ」「保育園まかせ」などがあるが、ようは「本来の責任者は自分たちであるにもかかわらず、援助目的の行政サービスが存在することをいいことにすべての履行責任を押しつけようとする態度を非難する言葉」が「まかせ」であるといえよう。そういう意味で言えば、私が個人的に考える「学校まかせな態度」というのは、「ハンカチやティッシュを忘れないで持参させるようにするのは、ハンカチやティッシュを持参させることを決めた学校の管理責任」「学校が持ってこさせたいなら当然学校が用意すべきだ」と主張して、保護者側でなんらハンカチもティッシュも用意することなく当然持って行くことの補助指導もしないとか、「宿題は先生が出したもの。忘れないようやらせたいなら先生が各家庭に電話して子どもに注意喚起すれば良い。保護者はなんら関係ない」とするような態度のことではないかと思う。子どもの教育という大仕事は当然ながら家庭と学校が協力しないと実現しない面があり、それを保護者が理解しようとしなければいつのまにか「教育は学校の仕事」になってしまう。そういう態度が(実際まわりを見渡してもそこまでの保護者は相当レアなのであるが)「学校まかせ」と言われるならわかる(しかしこれも程度問題であって、だからといって学校側がきめたことに何でも親は従うべきだと言っているわけではないが)。

で、ニュースの話に立ち戻ると、ではこのニュースにおいて「行政まかせ」と指摘しているものはいったい何なのかというと、受賞団体のひとつ「幸町1丁目コミュニティ委員会」の活動において明文化されている部分だけにかぎっても、
①買い物が不便で困っていることを行政に何とかしろという態度。
②庭木の枝切りができなくて行政に何とかしろという態度。
③ゴミ出しができなくて行政に何とかしろという態度。
であるらしいことがわかる。
ようは、これらのことを自治会の役員OBなどが中心となって委員会でやっているから、行政は対処しなくてよくて助かったね偉いねという話なわけである。

私はこれらの熱心な地域活動が「素敵だね」と賞賛されること自体には特に違和感はない。そこに「行政に頼らなくて偉いね」の評価目線が入ってくることに違和感があるのである。
つまりこの記事で、このコミュニティ委員会がどうのという話をしたいわけではないので、これはこれで素晴らしい取り組みだということを念のため申し上げておきたいが、問題を感じるのは行政側の態度なのだ。
①は、それは市(いち)が定期的に立てば便利は便利だろうけれども、「あーよかったこれで行政はなんもしなくていいや」という話ではないはずだ。市(いち)というのはスポットでひらかれ、提供商品も限られているはず。発想としては市(いち)というのは売り切りメインだから、買えない弱者も出るわけで、ハコモノ商業施設の代替になるわけではない。定期市は「ボランティアのおかげで成り立つちょっといい話」ではあっても、「行政に頼らず自分たちの生活資源調達ルートを確立しよう」というような大それたものではないのではないだろうか。
「地域社会の高齢化が買い物不便につながる」というのは、なにも野菜調達だけの話ではなく、病院にもホームセンターにもクリーニング屋にも駅にも行きづらくなるという話であって、日本全国これからの行政課題であることは間違いないだろう。さっこん国レベルでも気のせいか、「そんなの家族で助け合いなさいね」とお茶を濁される場面を多く見るような気がするのであるが、家族や地域での助け合いは助け合い。行政というのは家族がいなくても地域団体に加入していなくても、基本的人権を保障するのがオシゴトであり、そのために安くない税金を国民からかっぱいでいるのではないのか。なんだかもうまるで「子ども食堂もあるから君たち安心しなさいね」とか平気で言う某国首相のようなのである。

②であるが、庭木の枝切りなんてのはきわめて個人的な問題であって、そもそもそんなサービスがある自治体のほうが少ないであろう。それとも千葉市民は「うちの庭の枝が伸びすぎて困ってる」みたいな話を行政に持ち込む慣習でもあるのだろうか? 「助け合いがあっていいね」という話だけならわかるが、なぜその活動が「行政まかせにしてない、いいね」という話になるのかがちょっとよくわからない。

で、③であるが、うちの自治体は高齢者や障害者などの弱者に対して、ごみ収集の職員が直接居宅に立ち入って収集をする行政サービスがある(それとない見守りも兼ねている)。千葉市の場合、そういう支援をする地域団体に対して支援対象1世帯当たり月1,000円という、けっこうな補助金を出しているようだ。これを見てもわかる通り千葉市というのはもうカラーとして「地域団体主義」「草の根自治主義」みたいな香りがする自治体なのであった。ここの首長は以前、「年寄りの健康度合いに従って介護保険を地区別料率にしたらいい」などというオイオイ発言もしている。
それはそうと、けっきょくのところ千葉市は「ごみが自力で出せません」という問題に直接対応はもともとしておらず、「世話してくれる団体が居ると良いね、居たら補助金出すからね」というだけの話なので、庭の木の枝とあまり変わらない。直接サービスをしている当自治体が「地域の人同士でごみ出し手伝いしてもらえると助かるわぁ、ありがとう」と感謝表彰するならわかるが、もともと「そんなの地域でやってね」と言っている自治体で地域同士でやったからといって「行政に頼らなくて偉いね」という表彰に何故なるのか。このあたりもナゾなのである。つうかもともと頼らせてないじゃんね表彰されてもね?などと思う私は心がゆがんでいるのであろうか。

これらの謎の表彰、謎の目線のカギをにぎっているのが主催団体「公益財団法人あしたの日本を創る協会」である。この協会の事業内容をみれば、この団体がこの表彰をする理由自体は理解できるのであるが、この、雑居ビルの一角でほそぼそと有志活動をしてそうな協会名に似合わず、ディスクロージャーを確認するとたまげるほどの巨額の金が動いており、「これもしかして天下り団体じゃ…」などとうっかりじゃすいをしそうになるのであった。事務所は一等地の西麻布、「一般財団法人日本交通安全教育普及協会」というやはりうっかりじゃすいをしそうな団体と同じビルにある。こういう仕掛けを見て「・・・・・・」と思う私はやはり心がゆがんでいるのでありましょう、というのがこの話のオチでした。お清めお清め。なむなむ。

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ぶきゃこ

Author:ぶきゃこ
東京多摩地区。
会社員しながら4匹にエサやり中。
母親としてはもう相当数無理あり。
中2以来、ずっと重度の中二病。
ツイッターもあるヨ→@ bkk858

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